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まず使用総資本の資産サイドに注目して,ROAを常業活動の成占I!:と財務活動の成果に分けて分析してみよう。
総資産=総資本を営業所動に使われている営業活動資産と,財務活動,すなわち子会社・関係会社への投資や金融・資本市場での余資運用に使われている財務活動資産に分けると常業利益が前者に対応し,受取利息、・配当金が後者に対応すると考えられるので,それぞれの活動の成果に分けて分析することができる。
ただし,実際には営業活動資産と財務活動資産に明確に区分することは困難である。
とはいえ,日本企業(特に「財テク」活動に注力している企業)を分析するに際しては,この点の分析も不可欠となっている。
もちろん,これは大雑把な試算の一例であり,実際に分析する場合は財務諸表の注記事項や付属明細表などを十分にチェックして適切な分析を行うことが必要である。
27%という数値になる負債資本を企業に提供している債権者は,契約で予め定められた利子が支払われるので,その提供資本に対する収拾。
率は負債利子率の形で表わされる。
日本企業の場介は,分子に書IJリ料が含まれることに対応して,分I号には受取手形の苦IJ引残高を加えることが望ましい。
ここでも,説明の簡略化のため,分吐に!UJ末値をとったものだけを3下山することにする。
X社の支払利息・古IJ引料164億円の期末負債2兆6,873億円(X社の割引手形はゼロ)に対する比本はわずか0.61%となる。
この数値が低く出るのは,主として買掛金,点在、全,未払日,前受金,退職金引当金などの無利子負債が負債のかなりの部分を締めていることによる。
ちなみに末の短期借入金1,541億円,長期借入金168億円,社債2,000億円,転換社ut3,522億円,コマーシャル・ペーパー500億円を合計した有利子負債7,731億円(負債令計向己資本を企業に提供している株主の収益は,事業活動からあがる利主主から債権者に利子を支払い,国家に法人税を支払った残りの当期純利益となるので,その提供資本に対する収説率は自己資本(、11期)純利益率でされる。
その略称として,内己資本利益率の頭文字をとったROEを採用することにする。
後述するように,わが国では自己資本利益率(株主資本利益率という用語もよく使われている)という場令,分子として税引後純利益の他に経常手読を使うことが多いが,本書でROEという場合は,すべて税引後ベースに統一するものとし,経常利益を使う場令には下記のようにそれを税引後に換算したものを使うことにする。
社が件業活動と財務活動を合わせた事業活動によってあげた利益1,832億円から債権将の取り分である支払利息・割引料164億円の残余は1,668億円となる。
ただし,この則には前述のとおり金融収文を除くその他の常業外損益がマイナス380億円あったため,経常利益として自己資本の収益は1,288億円になる。
また,このWには特別損益ーとして差引き217億円のマイナスがあるのでこれを差し引き,さらに法人税・住民税353億円を国家に支払った残りの当期純利雄718億円が最終的に株主に帰属する利読ということになる。
910億円なので,自己資本純利益率(ROE)はそれぞれ51%と計算される。
なお,前述のように,相対比較を重視する証券分析では,同業他社比較や同一企業の異時点比較をする際に同じやり方を採用する限りどれを採用しても構わないt:4)向己資本の収益性を示す円己資本利益率の分子に,わが国では税引後ベースの当期純利益か税引前ベースの経常利益のどちらかが使われることが多い。
しかし,当期純利益は特別損益を加えたものとなっている一方,経常利益は税引前であるといった具合に一長一短がある。
確かに,過去において実際に株主に帰属した利雄をみる(経常者の成制を評価する)という1t見入り;からは,特別損益を含めた後の税引後の当期純利益でよい。
しかし,将来を予測する場合の分析の出発点としては,特別損益を除いた方が望ましい。
したがって,企業の将来の向己資本の収益性を考察する場合,分子の利益には税引後換算の経常利益を用いるのが望ましい。
C少数株主持分,優先株の取扱い以上,X社の個別財務諸表を使ってROAとROEの計算例を示してきたが,連結財務諸表を用いてROEを計算する場令は,少数株主持分の取扱いが問題になってくる。
子会社の資本勘定のうちの少数株主持分は,将来の返済義務がない点で純粋な負債ではないが,親会社の株主の立場からは外部者持分なので,連結貸借対照表の自己資本から除かれている。
また,子会社が計上した利益のうち少数株主の持分に当たる部分(少数株主持分損益)は親会社の株主に帰属しないので,連結損益計算書の当期純利益から除去されている。
したがって親会社の株主の視点からROEを計算するのであれば,ROEの分子・分母ともに少数株主持分が除かれている連結財務諸表の当期純利益と自己資本をそのまま使うことで問題ない。
ただし,ROEの分子に少数株主持分担識を含む利益,例えば経常利益x(1税率)を使う場合には,それを少数株主持分損益控除後ベースに調整する必要が出てくる。
X社の財務諸表では個別連結ともに優先株がないが,優先株がある場合にROEを計算するに際しては優先株残高と優先株配当金の取扱いが問題になってくる。
優先株は貸借対照、表では門己資本に含まれ,優先株配当金は税引後の当期純利益から支払われるが,優先株配当金は最初からほぼ確定している点では負債に類似した性格をも、したがって優先株が存在する場合のROEには,@優先株主を含むすべての株主の視点から見る場合と,A普通株主のみの視点から見る場合の2通りが考えられ,Aのケースでは分子には当期純利益から優先株配当金を控除したものを用い,分母には自己資本から優先株残高を控除したものを用いることになる。
(2)財務レパレッジ効果(1)では,総資本,負債資本(他人資本),自己資本の収益率を,それぞれ総資本事業利益率(ROA),負債利子率,向己資本純利益率(ROE)という指標で捉えて説明してきたが,次にこれらの比率が相互にどのような関係にあるのかを検討してみよう。
このROAとROEの関係を示す(3)式によると,ROAが負債利子率iを上回る限り,負債の自己資本に対する比率(負債比率またはD/Eレシオと呼ばれる)が高いほどROEが高くなる。
このROAと負債利子率の差を増幅してROEを高める効果のことを財務レパレッジ効果(everageとは梶子の作用)という。
もちろん,ROAが負債利子率を下回る場合には,負債の門己資本に対する比率が高いほどROEが低くなるという逆方向にレパレッジ効果が働く。
ある企業の長期間の平均値でみれば,ROAは負債利子率を上回るはずだが,不況期にはROAが負債利子率を下回ることも起こりうる。
すなわち,資本構成に占める負債の比率が高くなるほど,ROEの平均的な水準は高まる一方で、好況期と不況期の振幅も増大するという,リターンとリスクのトレード・オフの問題を引き起こすわけである。
ところで,第7章第2節の伝統的静態比率による安全性の分析では,安全性の観点からは向己資本比率が高いほど望ましいとしたが,ここで、行った自己資本の収説性の観点からは,ROAが負債利子率を上回ることを条件に,財務レパレッジが高い(自己資本比率が低い)ほど好ましい関係にあると説明してきた。
言いかえれば,財務レパレッジが高い方がよいか低い方がよいかは一概に言えないにしても,ROAが負債利子率を上回るのが通常の姿とすれば,株式評価の観点からは,財務レパレッジが高い(自己資本比率が低い)ほど,自己資本の収益性(ROE)を高めることになり好ましいということができる。

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